SDGs講座:地球社会編(地球社会の現状と課題)
単元4 衣食住から見える地球社会の現状と課題:③私たちは何を使っているのか?
1■見出し部(Identification Division)
1.1●概括(Overview Section)
- 管理ナンバー(Management Number)
- slu80_sdgs014_yumoto
- 分野(Field)
- SDGs(持続可能な開発目標)
- 題名(Title)
- SDGs講座:地球社会編
- 副題(Subtitle)
- 地球社会の現状と課題:単元4 衣食住から見える地球社会の現状と課題:③私たちは何を使っているのか?
- セールスポイント(Sales Point)
- ①地球的課題や「持続(不)可能性」に向けた取り組みを理解すること。
②地球社会が直面する危機を「じぶん事」として捉え、「個人の変容」を促すこと。
③「個人の変容」が主体的な行動や実践の動機付けとなり、「社会の変容」へと繋がること。
④自分の専門性や卒業後の進路に結びついて「持続可能な社会の創り手」になっていくこと。
1.2●著作(Copyright Section)
- 作成者(Author)
- 湯本 浩之
- 所属(Affiliation)
- 宇都宮大学
- 改変履歴(Version & Date)
- Ver. 2.0 2021年8月16日
学協会・団体による監修等:
本構造化学習ユニットで展開された内容は、日本ESD学会との連携により制作されたものです。
2■手順部(Procedure Division)
※「手順部」は「導入」「展開」「まとめ」からなる。
2021年8月16日
SDGs講座「地球社会編」
担当:湯本 浩之(宇都宮大学)
○単元4
衣食住から見える地球社会の現状と課題:③私たちは何を使っているのか?(オフラインの場合)
<目 的>
単元3に続いて、本単元では、受講者である大学生の毎日の生活に欠かせない「スマートフォン」をヒントに、地球的諸問題対する認識を新たにし、理解を深めていく。
また、わたしたちの日常の中に世界の貧困問題や人権問題などとの接点や関係性があることへの気づきや学びを促していく。
2.1●導入(Introduction Section)
※新しい学習への準備を整える
<内容・進行>
【1】オリエンテーション(5分)
①本単元の趣旨説明。
<目 的>
単元3に続いて、本単元では、受講者である大学生の毎日の生活に欠かせない「スマートフォン」をヒントに、地球的諸問題対する認識を新たにし、理解を深めていく。
また、わたしたちの日常の中に世界の貧困問題や人権問題などとの接点や関係性があることへの気づきや学びを促していく。
2.2●展開(Development Section)
※情報提示:新しい事項を組み込む
【2】グループワーク1「わたしは何を使っているのか」(20分)
〔ねらい〕
①自分が毎日使っている「スマートフォン」にも「見えない原料」が使われていることを理解する。
②その「原料」がどこでどのように生産されているのかを理解する。
③その生産によって、どのようなメリットやデメリットが生まれているのかを理解する。
※今回は時間の関係上、前回のふりかえりは行わない。
〔手順・ポイント〕
①グループづくり
・多様な学生との意見交換を奨励する意味で、単元ごとに新たなグループをつくる。
→グループづくりの手法については、別紙「グループのつくりかた」を参照。
→各回でメンバーを固定する必要や事情があれば、同じメンバーとしてもよい。
②アイスブレイキングを兼ねて、自分が今使っているスマートフォンに関する次の質問について、グループの中で互いに答えていく。
1)自分がスマホを初めて持ったのはいつか?
2)その時なぜスマホが必要になったのか?
3)今のスマホで何代目なのか?
4)今のスマホの機能や性能で気に入っていることは、あるいは不満なことは何か?
5)新しいスマホに買い換えたいか?それはなぜか?
③パワーポイントのスライド(※別途作成)を使いながら、クイズ形式で、その「スマホ」や「希少金属」について解説していく。
→主なクイズ(選択式)は次の通り。
1)「世界で、また日本で最初に携帯電話が登場したのはいつか?」
2)「世界の、また日本の携帯電話の契約数はどれくらいか?」
3)「国内外のスマホ・ブランドにはどのようなものがあるか?」
4)「スマホには何個ぐらいの部品が使われているか?」
5)「スマホの生産に必要不可欠な金属にはどのようなものがあるか?」
【3】グループワーク3「スマホの何が問題なのか?」(55分)
〔ねらい〕
①スマホ生産に必要不可欠な「希少金属(レアメタル)」の生産地の状況や問題を理解する。
②「希少金属」の生産が現地社会や国際社会に及ぼしている影響を理解する。
③生産地と日本の関係、スマホと私たちとのつながりを認識しながら、生産者や消費者などが今後取り組むべきことを検討する。
〔手順・ポイント〕
①次の2本の資料映像を視聴する。
・TBS News「スマホ、パソコン、暴力、コンゴ①」『報道の魂』(2015年4月放送、8:00)
https://www.youtube.com/watch?v=3cqqGafvNPo
・TBS News「スマホ、パソコン、暴力、コンゴ②」『報道の魂』(2015年4月放送、6:34)
https://www.youtube.com/watch?v=SjdvuOKu_8E
②視聴した映像を参考に、次の点について話し合う。
*映像を見ての感想・疑問
*希少金属の採掘・生産が人々や地球に与える影響や問題とは何か?
*では私たちはこれからどうすればよいのか?
③この問題に対する取り組みを紹介した次の映像を視聴する。
・TBS News「スマホ、パソコン、暴力、コンゴ③」『報道の魂』(2015年4月放送、9:23) https://www.youtube.com/watch?v=l1DQaiOq4TA
・TBS News「内戦が続くコンゴで性暴力と戦い続ける医師」(2016年10月放送、8:31) https://www.youtube.com/watch?v=jLQvQV58-0I
※時間の関係で、上記の2本の映像のうち、どちらかを視聴する。前者は最初に視聴した2本の映像の3本目で報道番組の全編を視聴することになる。後者はノーベル平和賞を受賞したコンゴのムクウェゲ医師が来日した際のニュース映像である。
※学生には、授業内で視聴しなかった方の映像も別途視聴することを促すとよい。
④3本目の映像を参考に、話し合いを継続する。
*改めて、私たちはこれからどうすればよいのか?
*自分とスマホととの関係はどうあればよいのか?
→スマホを生産・販売する企業を単に否定・批判するのではなく、「持続可能な生産と消費」のあり方や、人権擁護や平和構築に関する議論やプロセスを継続していくことが重要であることに気づけるとよい。
⑤各グループでの議論を全体で共有する。
→時間の許す範囲で各グループから発表してもらうが、時間がなければ、一部のグループからの発表でだけでもよい。
2.3●まとめ(Summary Section)
※出来具合を確かめ忘れないようにする
【4】ふりかえり(10分)
①グループの中で各自が一言ずつコメント
・グループワークの感想
・グループワークを通じて新たに知ったことや考えたこと など
②コメントカードの記入
以上
3■備考部(Remark Divison)
※「備考部」は「注記」と「参考文献」節からなる。
3.1●注記(Note Section)
- ワークショップ教材
- 本単元で実施するグループワークの一部は開発教育協会(2018b)を参考にしている。「スマートフォン」を題材としたESD学習をさらに発展させたい場合は、この参加型学習教材を活用して多様なワークショップを展開することができる。
3.2●参考文献(Reference Section)
- 開発教育協会(2018b)
- 『スマホから考える世界・わたし・SDGs』, 開発教育協会(編集・発行), 2018年3月.
http://www.dear.or.jp/books/book01/770/(2022年4月3日アクセス) - 田中治彦・三宅隆史・湯本浩之(2017)
- 『SDGsと開発教育:持続可能な開発目標のための学び』学文社
- 佐藤真久・田代直幸・蟹江憲史(2017)
- 『SDGsと環境教育:地球資源制約の視座と持続可能な開発目標のための学び』学文社
- 西あい・湯本浩之(2018)
- 『グローバル時代の「開発」を考える:世界と関わり、共に生きるための7つのヒント』明石書店
- 高柳彰夫・大橋正明(2018)
- 『SDGsを学ぶ:国際開発・国際協力入門』法律文化社
- 田中治彦・枝廣淳子・久保田孝(2019)
- 『SDGsとまちづくり:持続可能な地域と学びづくり』学文社
- 北村友人・佐藤真久・佐藤学(2019)
- 『SDGs時代の教育:すべての人に質の高い学びの機会を』学文社
- 田中治彦・奈須正裕・藤原孝章(2019)
- 『SDGsカリキュラムの創造:ESDから広がる持続可能な未来』学文社
- 阿部治・野田恵(2019)
- 『知る・わかる・伝えるSDGsⅠ:貧困・食料・健康・ジェンダー・水と衛生』学文社
- 阿部治・二ノ宮リムさち(2021)
- 『知る・わかる・伝えるSDGsⅡ:エネルギー・しごと・産業と技術・平等・まちちづくり』学文社
- 阿部治・岩本泰(2022)
- 『知る・わかる・伝えるSDGsⅢ:生産と消費・気候変動・海の豊かさ・陸の豊かさ・平和と公正』学文社
- 湯本浩之(2021)
- 「SDGs教材映像リスト」(video_list_SDGs_yumoto_20210712.pdf)
https://drive.google.com/file/d/1WP7Szx5Dl8YSn3aPR6g49TM3IR1ikbEG/view?usp=sharing
3.3●配布条件(Distribution Condition Section)
選択肢 | 中項目 | 備考 |
---|---|---|
Public Domain | 改変・再配布自由 | |
Creative Commons 対応 | 改変許諾(Permission for Change) | ※「改変許諾」か「改変禁止」のどちらかを指定する。 |
改変禁止(Without Modification) | ||
継承(Share Alike) | ※「継承」「商用許諾」「非営利」のいずれかを指定する。 | |
商用許諾(Commercial) | ※授業目的以外のオープンキャンパス等で利用するには商用許諾が必要。 | |
非営利(Noncommercial) |
[CC BY] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求する。
[CC BY-NC] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、非営利目的での利用に限定する。
[CC BY-ND] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、いかなる改変も禁止する。
[CC BY-NC-ND] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、非営利目的での利用に限定し、いかなる改変も禁止する。
[CC BY-SA] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、作品を改変・変形・加工してできた作品についても、元になった作品と同じライセンスを継承させた上で頒布を認める。
[CC BY-NC-SA] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、非営利目的での利用に限定し、作品を改変・変形・加工してできた作品についても、元になった作品と同じライセンスを継承させた上で頒布を認める。
(注)クリエイティブ・コモンズ(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(2021))を参照。
4■環境部(Environment Division)
4.1●ハードウエア(Hardware Section)
4.1.1★教室種別(Classroom Type)
〔用意するもの〕
①移動式ホワイトボード(グループに1台、なくても可)
→ホワイトボード用のマーカーは黒・赤・青の3色あるとよい。
②進行を案内するパワーポイント(スライド)※別途作成
講義室 | 演習室 | 実験室 |
体育館 | 運動場 | PC教室 |
CALL教室 | Online |
4.1.2★プレゼンテーション設備(Presentation Facility)
移動式ホワイトボード(各グループに1台あるとよいが、なくても可)
ホワイトボード(黒板)(White(black)board) | 教材提示装置(Presentation Camera) |
ビデオテープ(Videotape) | CD, DVD or BluRayDisc |
液晶プロジェクタ(Liquid-Crystal Projector) | ウェブカメラ(Web Camera) |
教卓PC(Teacher PC) |
4.2●ソフトウエア(Software Section)
アンケート等は学習管理システムを利用する。
学習管理システム(Learning Management System) | ウェブ会議サービス(Web Meeting Service) |
5■戦略部(Strategy Division)
※「戦略部」は「学習戦略」「成績評価」「働き掛け」からなる。
5.1●学習戦略(Learning Strategy Section)
※「学習戦略」節は「授業形態と組合せタイプ」「授業方針」「学習目的と形成的評価」からなる。
5.1.1★授業形態と組合せタイプ(Style of Class & Class Combination)
対面授業によるワークショップ形式をとる。
①履修者の対象は、主に学部1年生とする(2年生以上も可)。
②学習者(学生)中心のグループワーク(小集団活動)やアクティビティ(参加型学習活動)などで個性されたワークショップ形式の授業を展開するため、対面授業の場合は履修人数は30名程度(たとえば5名×6グループ)が適正規模であるが、最大でも上限を40名程度とする。
③教員から受講者に知識や情報を先に提供するのではなく、まずは受講者のこれまでの経験や生活実感の中から、知識や情報を引き出し、それらを共有し、つなぎ合わせていく。
授業時間:1単元あたり90分。
①本講座は、すでに関連する分野の知識や関心を持ったいわゆる「意識高い系」の学生を対象とするものではなく、専門知識や社会経験の限られた学部の1年生を主な対象とすることから、履修者に専門的な知識や社会的な関心をあらかじめ求めるというよりも、むしろ、この授業の受講を通じて知識の必要性を感じ取り、興味関心を高めていくことができるような工夫や配慮が、指導する側の教員に求められる。
②大半の履修者が日本の伝統的な学校教育を受け、受験勉強に「馴らされて」きている。かれらの多くは、「答えのある問題」や「解き方を教えられた問題」を解くことには慣れているが、「答えのない問題」や「解き方を知らない問題」を考えることには不慣れである。また、自分の意見や気持ちをグループや教室の中で表出することにも躊躇や抵抗があるほか、自分や「教科書」とは異なる意見や立場が存在すること自体を知らない場合も少なくない。
③もちろん、大学や学部によって事情は異なり、学生にも個人差があるが、本講座の履修に際しては、知識や学習能力に条件や前提を課すのではなく、高校卒業間もない大学生の一般的な傾向や特徴に留意しながら、一人ひとりの知識や経験から学習を始め、学習者相互の「学び合い」を重視することが重要である。それが従来の教科書中心、教師中心の知識伝達型教育の限界を克服しようとする「学習観の転換」を伴うESDやアクティブ・ラーニング(≒参加型学習・課題提起学習など)の本質である。
④学生たちが、グループワークやワークショップを通じて、自己を開示すること、意見や気持ちを表明すること、異なる意見や立場に耳を傾けること、情報や経験を共有し合意を形成すること、そして、役割を分担して協働すること、などができるようになることを期待したい。
選択肢1 | 選択肢2 | 備考 |
---|---|---|
[F2F]対面授業(Face-to-Face Class) | 教員の講義を中心とした知識伝達型の授業ではなく、グループワーク(小集団活動)を中心とした参加協働型(ワークショップ式)の授業であることを実施機関や担当者が了解していること。 | |
オンライン授業(Online Education) | [DOC]資料配信型(Material Distribution) | ※授業形態の選択:オンライン授業の場合,授業形態を[DOC][REC][LIVE]から選択する。 PDFファイル等による資料配信 |
[REC]オンデマンド型(On-Demand) | 非同時動画配信 | |
[LIVE]ライブ型(Real-Time) | 同時動画配信 | |
[B]ブレンド型(Blended) | ※組合せタイプの選択:オンライン授業の場合,組合せタイプを[B][D][H]から選択する。 P授業の回によって、対面[F2F]とオンライン[LIVE][REC][DOC]を切り替えることで組み合わせる(ローテーション型授業や反転授業など)。受講する授業形態を決めるのは教員である。 |
|
[D]分散型(Distributed) | クラスをグループに分けて、一方を対面授業[F2F]とするときには他方をオンライン授業[LIVE][REC][DOC]とし、授業の回によって入れ替える。対面授業の三密対策に有効である。対面授業の受講する授業形態を決めるのは教員である。 | |
[H]ハイフレックス型(HyFlex) | 対面授業[F2F]を実施する際、同時動画配信[LIVE]しつつ、その授業動画を収録して非同時動画配信[REC]することによってオンデマンド授業としても参加可能とする。受講する授業形態[F2F][LIVE][REC]を決めるのは学生である。HyFlexはHybrid-Flexibleの略。 【参考文献・URL】「ハイフレックス型授業実践ガイド(PDF版)」, 『ハイフレックス型授業実践ガイド』, 全学教育推進機構教育学習支援部サイバーメディアセンター, p. 2, 大阪大学. https://www.tlsc.osaka-u.ac.jp/project/onlinelecture/hyflex.html(2021年1月25日アクセス) |
5.1.2★授業方針(Class Policy)
講義中心(Lecture) | 演習中心(Practice) | ワークショップ中心(Workshop) |
体験型学習(Experimence-Based) | 問題解決型学習(Problem-Based) | プロジェクト型学習(Project-Based) |
5.1.3★学習目的と形成的評価(Learning Objective & Formative Assessment)
【学習目的】
地球社会が直面する喫緊の問題とは、私たち人間が人間らしい基本的な生活(Basic Human Life)を営む上で必要なもの(ニーズ)が十分に満たされていない状態であるということができる。そのニーズとは多岐にわたり、世界の各国や各地域によっても異なるが、それらを早急に改善していくことが地球的課題(グローバル・イシューズ)に他ならない。「持続可能な開発」とは、現在地球上で暮らしている世代と将来地球に生まれてくる世代の双方が、ともにそのニーズを満たすことができるような社会づくりを意味している。
そこで本単元では、地球社会の現状や課題を考える前に、受講者である学生たち自身にとっての必要なもの(ニーズ)とは何か。そのニーズが満たされているのか否かを検討することで、まずは自分自身の生活や考え方を確認し、次単元以降への導入とする。
また、その検討をグループの中で行うことで、自分の意見を表明したり、他者の意見を傾聴したりするという参加協働型の学び(アクティブ・ラーニング)の基本的な学習活動を体験するとともに、本講座が互いに自由に、かつ安心して発言ができる場であり、「学び」というものが「人と人との対話や協働という関係性の中から生まれてくる」ものであることを理解する。
【学習目標】
①「持続可能な開発(SD)」に関する基本的な理解を図る。
持続可能な開発目標(SDGs)の「17目標」自体を「学ぶ」のではなく「2030アジェンダ」の理念や目的と関連付けながら取り組みを理解する。現代社会のもつ「多様性」や「複雑性」や「相互依存性」などを具体的に認識し理解する。「SD=環境問題」とならないよう開発、人権、平和、ジェンダーなどに関する課題を含めて多面的に理解するとともに、「誰一人取り残さない」という人権保障の意味や認識を深める。
②学生の専攻分野における地球的課題や「持続(不)可能性」に向けた取り組みを理解する。
とくに、理系(工学や農学など)や医学・看護系の学生も自分の専攻分野とSDGsとの密接な関係性が理解できるようになる。ただし、各分野領域での専門知識の教授や先駆的な事例の紹介は、本講座の目的ではなく、そうした機会は2年次以降の専門教育の中で提供する。
③持続可能な社会づくりに向けた問題意識やモチベーションを喚起する。
地球社会が直面する危機を「じぶん事」として捉えられるようになる。「個人の変容」が主体的な行動や実践の動機付けとなって「社会の変容」につながっていく。自分の専門性や卒業後の進路とも結びつけたキャリア教育としても位置づける。
④大学教育として「持続可能な社会の創り手」を育成する一歩とする。
【目標達成の形成的評価(基準)】
学習ユニットの学習効果のアセスメントに用いる。
平常点(40点/100点):「ふりかえりシート」(5点×8回=40点)を用いてアンケート機能等を利用し、教員が評価する。
選択肢 | 備考 |
---|---|
知識獲得型(Knowledge) | 知識の獲得を主たる目的とする。 [形成的評価の例]獲得を目指す「知識」は何か? 個別的知識を小テスト、統合的知識をレポートで評価。 |
技能習得型(Skill) | 技能(スキル)の習得を主たる目的とする。 [形成的評価の例]習得を目指す「技能(スキル)」は何か? 実践結果とその振返りで、自己評価・同僚評価(注3)。 |
認知変容型(Cognition) | 認知・態度の変容を主たる目的とする。 [形成的評価の例]変容を期待する「認知・態度」は何か? 想定される認知バイアスや態度を事前アンケートで評価、学習後の変容を事後アンケートで評価。事前・事後の比較で「認知・態度」の変容を評価。 |
5.2●成績評価(Grading System Section)
【成績評価】
この講座全体としての評価方法は、次のような配点で成績を評価する。
①平常点(40点):
「ふりかえりシート」(5点×8回=40点) 教員が評価
アンケート機能の利用
②課題点(30点):
課題レポートを提出(A+:30点、A:25点、B:20点、C:15点)
③自己評価点(30点):
自己評価(S:30点、A:25点、B:20点、C:15点)
④以上の合計点が60点以上で単位を付与する。
選択肢 | 備考 |
---|---|
[形成=成績] | 形成的評価による教育指導を全面的に成績評価する方法 (例)形成的評価の内容を点数化して取り入れる |
[形成→成績] | 形成的評価による教育指導の一部だけで成績評価する方法 (例)形成的評価の提出状況だけを点数化して反映させる |
[形成≠成績] | 形成的評価による教育指導を成績評価に取り入れない方法 (例)形成的評価は用いず、レポート・アンケート等で成績評価する |
5.3●働き掛け(Encouragement Section)
【グループワークの受講者数】
①最適人数20名~30名、最大40名程度。
【グループ数】
①グループで議論や作業をする上で、1グループあたりの人数は4~6名が最適。
→1グループ3名以下では議論が活性化しにくい。
→逆に7名以上となると、一人が発言できる回数や発言量が限られてくる。
②グループの総数は最大で5グループが最適。
→(例)90分の授業でグループ発表を行う場合:1グループ15分(発表:10分、質疑:5分)×5グループ=75分+α。
③受講者数が30名を越えるとグループ当たりの人数が増えたり、グループ数が増えるので、1単元内でのグループ発表の時間の確保が難しくなる。
④グループ発表を行わない場合は、上記の限りではない。
⑤逆に受講者数が少ない(10数名以下)場合、1グループあたりの人数やグループ数が少なくなり、グループワークやワークショップとしての相乗効果やダイナミズムが生まれにくくなる。
【グループでの話し合いのポイント】
本講座のテーマである「地球社会が直面する問題(グローバル・イシューズ)」とは、「正解のない問題」であり、たとえ正解があっても「容易には正解が見つからない問題」であり、「正解が複数あるかもしれない問題」である。こうした問題を解決していくためには、「正解」や「解答」を人よりも早く見つけることことではなく、皆で多様なアイデアを共有し、現状での最適解や多様な選択肢を導きだしてくことが大切である。
そのための議論を効果的に進めていくためには、受講者には次のことが期待される。
①相手の話をよく聴く(傾聴する)。
→互いが安心して発言できるように。
②自分とは異なる意見やアイデアを否定しない。
→多様な視点や立場を共有することが大切。
③遠慮せずに分からないことは質問する。
→小さな疑問の中にも議論を展開するヒントがある。
④ポジティブに考える
→問題は深刻だが皆と前向きに考えていく。
上記の点は、教員と学生との間のコミュニケーションのあり方にも当てはまる。
選択肢 | 個数(半角数字) | 備考 |
---|---|---|
授業素材の「核」の個数(Number of Leaning Nucleus) | 10 | 原理的に1以上で、一般的に複数個:学習の素材となる核の個数。一般には、教授内容(what)のための核と動機づけ(why)や振り返り(reflection)の学習素材からなる。 |
ガニェ指標の個数(Number of Gagne Index) | 7 | 変域[0, 9]:教授法的側面からの学習の容易性の指標で、ガニェの9教授事象(Gagné's Nine Events of Instruction)にどの程度のっとっているかの度合い。9教授事象(注意喚起、目標提示、前提条件、新事項提示、指針提示、練習機会、振返機会、成果評価、保持移転)のうちのいくつが該当するかで算出。 |
場設モードの個数(Number of safety-mode) | 7 | 指示(-1)⇔開放(+1):「主体的に学ぶ」態度を心理的安全性の観点から促すために、学習者の情意的側面への働きかけによって場を設える教員の言動。「指示」:学生の学習行動を促す教員の明確な指示、「開放」:安心な学習態度に導く教員の言動。 |
対話モードの個数(Number of Dialogue-mode) | 5 | 自己(-1)⇔同僚(+1):「対話的に学ぶ」態度を促すために、学習者の認知的側面への働きかけによって場をゆさぶる教員の言動。「自己」:自己内の対話、「同僚」:同僚との対話を促す教員の言動。 |
視界モードの個数(Number of Birdeye-mode) | 5 | 虫目(-1)⇔鳥目(+1):「深く学ぶ」態度を促すために、学習者の認知的側面への働きかけによって場をゆさぶる教員の言動。「虫目」:虫の目(具体化)の視点、「鳥目」:鳥の目(抽象化)の視点に導く教員の言動(具体化は形式論理の「演繹推論」、抽象化は「帰納推論」に発展的に対応)。 |
事由モードの個数(Number of Warrant-mode) | 17 | 事実(-1)⇔理由(+1):「深く学ぶ」態度を促すために、学習者の認知的側面への働きかけによって場をゆさぶる教員の言動。「事実」:事実や事実の記述、根拠、「理由」:理由を与える意味や価値、論拠に焦点を当てる教員の言動(事実は非形式論理の「根拠」、理由は「論拠」に対応)。 |
本文
【分析担当】阪井和男(明治大学)分析表:
https://drive.google.com/file/d/1a9fEmdcEw0p6wU7Rxop5ksJZ1j0uTHx2/view?usp=sharing
分析図:
https://drive.google.com/file/d/1ZvBKgpO8t-l0HXSnrXxN6DUYBF2ps7m_/view?usp=sharing