SDGs講座:知識編「SDGsってなんですか?」

1■見出し部(Identification Division)

1.1●概括(Overview Section)

管理ナンバー(Management Number)
slu80_sdgs031_sato
分野(Field)
SDGs(持続可能な開発目標)
題名(Title)
SDGs講座:知識編
副題(Subtitle)
SDGsってなんですか?
セールスポイント(Sales Point)
講師と聞き手を交えた対話的なやり取りを通して,素朴な疑問「SDGsってなんですか?」に答えつつ,SDGsの全体像と歴史,その理論的な背景を学びます。講師の国際会議や企業等における議論の現場での経験から、SDGsに関わる幅広い知識を統合化した視点を提供するコンテンツです。

1.2●著作(Copyright Section)

作成者(Author)
佐藤 真久
所属(Affiliation)
東京都市大学
改変履歴(Version & Date)
Ver. 2.0 2021年9月10日

学協会・団体による監修等:
 本構造化学習ユニットで展開された内容は、日本ESD学会との連携により制作されたものです。

2■手順部(Procedure Division)

※「手順部」は「導入」「展開」「まとめ」からなる。

2021年9月10日
SDGs講座「知識編」
担当:佐藤 真久(東京都市大学)
○単元1「SDGsってなんですか?」

2.1●導入(Introduction Section)

※新しい学習への準備を整える

【1】この動画の進め方

[Video] movie_sdgs031-01_sato.mp4
https://drive.google.com/file/d/1JKTAfqlPrEykJydY4L5eyoeN6s8dYbv1/view?usp=sharing

(講師):佐藤真久(東京都市大学大学院) (聞手):齊尾恭子(明治大学サービス創新研究所)

(聞手)本日は、最近よく耳にするSDGsについて、「SDGsってなんですか?」と題しまして、東京都市大学大学院 環境情報学研究科 の佐藤真久先生からお話をお伺いします。

わたしはこれまで、欧米での留学・研究を踏まえ、アジア太平洋地域の環境政策・教育政策に取り組んできました。今回、話をするSDGsの前の国際開発目標であるミレニアム開発目標(MDGs)にも深く関わってきました。今日は、国際協力、地域づくり、教育・学習領域などの分野で、国際機関、政府機関、自治体、企業、学校、NPO/NGO、地域の方々など、多様なセクターともに仕事をしてきています。
「SDGsって最近よく耳にするけれど。実は、正直なところちょっとわかりにくいなあ…」と感じているひとって結構いるのですよね。
ですので、今日は、専門用語をなるべく使わずに、わかりやすくお話をしたいと思っています。

(聞手)先生がそんな風におっしゃって下さったので、私も、今回は、普段心の中で思っていても、なかなか口に出しづらいような、SDGsに関する「素朴な疑問」について、お伺いします。
(聞手)本日は、動画を見ていらっしゃる「学び手」のみなさんと、SDGsについての「話し手」である佐藤先生を、私が「聞き手」となって結ぶという、セッション形式で進めさせていただきます。よろしくお願いします。

2.2●展開(Development Section)

※情報提示:新しい事項を組み込む

【【2】SDGsってなんですか?

[Video] movie_sdgs031-02_sato.mp4
https://drive.google.com/file/d/1MQ82kKbc68yvQZ2sPFJzQ5NHoFVkGVlA/view?usp=sharing

1枚目:表紙 SDGsってなんですか?
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

(Q1)先生、そもそも「SDGs」って何をあらわす言葉なのですか?何かの頭文字の寄せ集めですか?

SDGsは、持続可能な開発目標の略語です。2015年の9月に採択された世界の目標で、近年では、テレビ番組や書籍、オンラインセミナーなどで見聞きしていることかと思います。世界で取り組むべき17の目標と、169の達成目標からなっていて、2030年という時限のなかで、みんなで取り組む世界の目標です。

(Q2)先生、少し気になったのですが、このスライドのイラストには何か意味があるのですか?(形、色のちがい、パーツが集まっていること)

SDGsの色とロゴは知っているかと思います。このスライドでは、皆さんが見慣れているSDGsの四角いロゴではなく、持続可能な社会に向けて、各目標のつながりと行動の重要性を表現したスパイラルを提示しています。今回のセッションを通して持ち帰っていただきたいイメージが、このスパイラルのイメージです。
上に揺れる星がありますが、「持続可能な社会」というなかなか明確にはよくわからない星に向かうスパイラルのイメージを持ち帰ってください

(聞手)先生の説明で、このイラストであらわされている・・・のような(「スパイラル(らせん状)、「動いている」「ゆれている」「星をめざしている、見ている」)といった言葉が、SDGsが大事にしているイメージをあらわしている、ということがわかりました。

2枚目:グローバルで複雑な問題群(Global Problematique)
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

このスライドには「グローバルで複雑な問題群」というタイトルをつけています。「肥満の問題」「高齢化」・・・・今日の問題は、別々の問題ではなく、相互に問題がつながりあい、世界共通の問題として、“グローバルで複雑な問題群”となっています。

(Q3)ということは、世界中の「人間」というか「人類」が、今後生きるうえで困ったことが起こりそうだなという課題を全てを扱う分野だということですか?(地球、自然という視点の欠如)

そうともいえるんですが、それだと少し抜け落ちている視点があるんですね。
ご存じのとおり、地球は人間だけ生きているのではありません。地球には植物や動物などが生きているように、自然に対する配慮も重要ですよ。人間目線だけではなく、自然環境に対しても配慮をしなければならない地球を作っていく必要がありますね。自然が生きる権利のことを「自然生存権」と言いますが、人が生きる権利としての「人権」とともに一緒に、配慮していくことが求められています。

(聞手)なるほど、確かに、地球上に存在しているのは我々「人間」だけではないですものね。SDGsでは、「地球上に存在しているすべてのものへの配慮」、が大事にされているのですね。

【3】どこからどこへ向かうの?

[Video] movie_sdgs031-03_sato.mp4
https://drive.google.com/file/d/1EiyBfqqOehEieT9CQWNDZ2Hi6Ukuursf/view?usp=sharing

(Q4)では、SDGsは、いつごろから言われはじめたのでしょうか?

3枚目:持続可能な社会の構築にむけて~開発アプローチの変遷(佐藤真久、2020)
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

このスライドには、「持続可能な社会の構築にむけて~開発アプローチの変遷」というタイトルをつけました。
世の中をよくしていこうという捉え方は、一般的に「開発」という言葉が使用されています。第二次世界大戦後を見てみると、日本は、。。。欧州は、・・・などのように経済開発中心の施策が行われてきました。その後、経済を支える社会のしくみ、社会開発(福祉の制度や教育の制度など)、1990年代から経済と社会を支える人づくりとして、人間開発の重要性が指摘されるようになってきています。
もう一つの流れとしては、1972年からはじまる「持続可能な開発」の流れです。
この大きな2つの流れは、1992年の国連環境開発会議(UNCED)において融合をしました。その後、途上国を対象にMDGsの文脈で国際協力が行われてきました。
日本などの先進国にとっては唐突感のあるSDGsですが、2000年初頭から、MDGsに取り組んできた途上国にとっては、SDGsはMDGsの延長上のあると捉えられています。

4枚目:持続可能な開発目標(2016-2030)
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

先ほども述べましたとおり、SDGsは、2015年の9月に採択された国際開発目標ですが、環境、社会、経済に関する様々な側面に配慮し、2030年という時限の中で取り組むべきものになっています。途上国だけでなく、先進国も取り組むべき国際開発目標です。環境問題、社会問題、経済問題など、異なるテーマが出ていますが、その問題同士をつなげ、同時解決を目指すものになっています。

(Q5)質問なのですが、「年表」というと「現在からさかのぼって過去を理解するためのものだ」と思いがちですが、SDGsの年表は「まだおこっていない未来への「目標」について書かれている」のですね。これは何か理由があるのでしょうか?

そうなんです。過去の経験を活かし、今日の現状を踏まえ、まだおこっていないありたい社会を描くことは、2030年という未来から今行うべき方向性を与えてくれます。

(聞手)「未来」「目標」が含まれている年表は、・・・を大事にするSDGsならではの年表だということですね。

(Q6)では、次の質問です。年表が出てくると、受験勉強のように年号と名称と内容を暗記しなくてはと思ってしまうのですが、必要ですか?

年号と名称を覚えることが重要なのではなく、豊かさの追求に向けて、第二次世界大戦後、我々がどのような視点を大切にし、どのよな議論を深めてきたという、全体の流れを把握することが重要なんです。また、SDGsは、みんなで取組べき世界の目標であるとこを捉えれていただければと思います。

(聞手)なるほど、細かい年号や会議名を暗記することよりも、「流れ」を把握することが重要なのですね。何を課題として設定してどんな方法で乗り越えようとしたか、でもまたすぐに次の課題が見えてきて、それに対して方法を考えて・・・という現在進行形の「ストーリー」のように理解することが重要なんですね。

(Q7)先生、質問があります。スライドの右下に「他者・外部のないグローバル化へ」という表現がありますよね。そこで質問なんですが、これまでの歴史をふりかえると、世界の国々が力を合わせて何かに取り組むというと、特定の国や組織がやっている行為・行動が問題だから、それをみんなでやめさせようというイメージがあるんです。でも、「SDGsは、(そういう)一部の誰かの行為を問題視してターゲットにして、それをみんなでやめさせるということではないということなんですよね?

そうなんです。相手を管理・制御し、SDGsの目標を達成させるのではなく、持続可能な社会の構築にむけて、社会の問題を自分ごと化することが必要です。他者や外部は関係ないと捉えるのではなく、自分や自分の地域、日本の問題として捉えて、自身も変えていく、自分ごと化していくことが求められています。
他者・外部は、対立的に捉え方によるものです。例えば:先進国⇋途上国、従来の経済活動⇋環境・社会・地域、日本⇋外国、都市⇋農村、大人⇋子ども、男性⇋女性、現代世代⇋未来世代、人間⇋自然など、多くのに二項対立の捉え方があります。
しかしながら、これらが互いに影響を及ぼし合い、関わり合っている認識を高めることが重要です。例えば、幕内弁当にみられる食材は海外から、みなさんが使っている携帯電話のレアメタルは世界から、東京の生活も日本の農村地域に依存しているわけです。

(聞手)自分と対立しているとことはどこかに注目するのではなくて、ひとりひとりが、それぞれの立場で「考える」、いわゆる「自分ごと」で考えることからはじめて、そして「互いに影響をあたえあっているのはどこか」「かかわっているのはどこか」という「関係性」に注目することを大事にしましょう、というのが、この「他者・外部のない」という立場なのですね。

(Q8)先生、もう一つ質問があるのですが、SDGsが最近になって突然出てきたものではないということがわかりました。年表の中にはいろいろなことがらが書き込まれているいるのですが、特に注目すべき箇所はどこでしょうか。

・・・ スライドを戻し、グレー部分に注目をしながら、次スライドへの準備をする ・・・
それついてはこのスライドのグレーの部分に注目してもらいたいと考えています。それがなぜなのかについては、次のスライドで説明したいと思います。

5枚目:MDGsとSDGs~異なる社会背景と問題認識
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

このスライドは「MDGsとSDGsの異なる社会背景と問題意識」というタイトルになっています。MDGsは、人権に基づく途上国の問題を解決することを主につくられた国際開発目標した。SDGsは、世界の問題が共通していく中で、世界中の皆が取り組むべき、国際開発目標です。
先進国にとっては唐突感のあるSDGsですが、それは世界の問題は途上国にあるという前提で、自分たちの問題として見てこなかったからです。先程も申し上げましたが、途上国にとって、SDGsはMDGsの延長です。

(Q9)では、今後も、社会背景が変われば、SDGsそのものもまた変わっていくということですか?

もちろんです。社会の問題とそれに影響を及ぼす社会背景が変われば、SDGsそのものも当然変わります。2050年には、100億人近くの人口になる地球において、より深刻な状況に対応した次の目標ができるかもしれません。また、人口知能が進み、技術革新が進む中で、問題解決のアプローチも変わる可能性があります。

(Q10)SDGsは、問題解決のするための理想とする「ベスト」な目標だと考えていいのですか?

SDGsはベストかどうかわからない、しかしながら、今日時点での国際的な議論に基づき、多様な視点を有した「ベター」な目標といえると思います。

(聞手)現状での「ベター」というのが重要になるのですね。「ベスト」だと「たったひとつ」の意味合いですものね。「よりよい」とおもわれる選択肢を、その都度いくつかつくりながら、行動していく、ということが、SDGsでは重要になってくるのですね。

【4】社会背景・世界観・特徴は?

[Video] movie_sdgs031-04_sato.mp4
https://drive.google.com/file/d/19yn4vcDV_kjggmGYjGbSof6s4yVEvSnp/view?usp=sharing

6枚目:SDGsの社会背景
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

ここでは、SDGsの社会背景について整理をしていくことにしましょう。
①2000年とは異なる社会問題・社会課題、②ありたい社会だけではなくありうる社会(VUCA時代)への対応

(Q11)「ありたい社会」と「ありうる社会(VUCA時代)」という言葉のちがいがよくわかりません。もう少し詳しく説明してもらえないでしょうか

ありたい社会(人類が理想する社会)、ありうる社会(VUCA社会の到来により、さまざまな不確定様相が増えてきている社会になってきています→リスク社会↑、さまざなシナリオを考える必要があります。

(聞手)なるほど、そういうことだったんですね。

(Q12)人類全体のことだと「ヒト」だから、なんとなく「ありたい」ことについて想像できる気がするのですが、人類だけでなく地球環境のことも含めてということですよね。環境にとっての「ありたい」ことって想像するのが難しいです・・・

世界の人口が78億人から100億人に増える(2050)、地球の限界が100億人。地球は、人だけのものではなく、自然(植物や動物も)も含まれる。環境(植物や動物など)にとってもありたいのは、地球という惑星の中で、豊かに生きていくことができること

(聞手)なるほど、そんなに何か難しくとらえるのではなく、まずは「地球は人だけのものではない」ということを前提にする。そして「地球という惑星で、自然(植物、動物)も、人類も、豊かに生きて行くことができるにはどうすればいいのか」と考えることから始める。確かに、それならば、少しできそうですよね。

7枚目:SDGsの世界観
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

ここでは、SDGsの世界観について整理をしていくことにしましょう。
①地球惑星的世界観、②社会包容的世界観、③変容の世界観

(Q13)先生、質問です。③の「変容の世界観」って一番難しく感じます。どんどん変化するのが当たり前、変化するのが前提ってなると、「どうせ先はわからないから、準備しなくてもいいんじゃない?」「考えてもしかたないよね」って考えるのをやめてしまうひとが増えそうです。どんなふうに自分の中で受け止めたらいいのでしょうか。考え方の癖をかえるのには何を変えればよいのでしょうか。

パリ協定、SDGsはともに、変容を強調している。変容には2つある、変える、変わる、変えるの社会、変わるの私たち
社会を変えるのは、政府とか会社幹部とかがやるべきだと考えているひとが多いかもしれませんが、2050年に地球の限界を迎える今日において、皆で変わっていくことが求められています。しかしながら、日本は経済成長という成功体験をしてしまったので、皆が変容していくことができないと言われています。Z世代(SDGs世代、デジタル世代)である皆さんは、経済成長を実感しにくいからこそ、社会を変える力を持っているのだと思います。

(聞手)なるほど、「経済成長の成功体験」が「変化しにくさ」に深くかかわっているのですね。わたしたちひとりひとりが「社会を変える力を持っている」。はっとしますね。

8枚目:SDGsの特徴
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

ここでは、SDGsの特徴について整理をしていくことにしましょう。
①複雑な問題への対応、②共有された責任、③求められる透明性

(Q14)②の「責任」という言葉に、ちょっと驚いています。なにについての責任なんでしょうか。地球に生まれたヒトだから自動的に責任を負っているということでしょうか。

①世代内の責任-地球には同世代の人が生きている。日本の経済活動は、多くに影響を及ぼしている。世界全体を視野に入れて、同世代に対しての責任が求められている。(日本人として)
②世代間の責任-自身の次の世代が、限られた地球のなかで豊かな生活を送るためにも、未来を視野に入れた責任が求めらている。(地球容量が限られている)
③地球に生きる生物としての責任-地球に生きているのは人間だけではない。自身が自然によって生かされていることを認識し、自然を守る責任が求められている。

【5】持続可能な開発って?

[Video] movie_sdgs031-05_sato.mp4
https://drive.google.com/file/d/1x35RYzMhasYLE8LbytAuoWHD4l0t_7wc/view?usp=sharing

9枚目:「持続可能な開発」概念の歴史的変遷 (1975~現在)
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

SDGsについては、その社会背景、世界観、特徴としてまとめてきました。
ここでは、SDGsを支えるサステナビリティ概念の歴史的変遷について述べたいと思います。
①サステナビリティの概念は1972年から議論が深められてきました。
②世界的に議論になったのは、1987年のブルントラントレポートによるものです。世代間の公正、世代内の公正についての議論が深まりました。
③その後、経済界で、環境・社会・経済の統合(トリプルボトムライン)、国連グローバルコンパクトやISO26000において、環境・社会配慮の重要性が指摘されました。
④SDGsの開始当初には、5つのP((1)People:人間、(2)Prosperity:繁栄、(3)Planet:地球、(4)Peace:平和、(5)Partnership:パートナーシップ)が言われ、
⑤2018年前後からは、地球の限界に配慮した社会・経済のあり方が指摘されるようになってきた
⑥近年では、環境配慮・社会配慮をしないとリスクになるという考え方がでてきています。

(Q15)「中長期的にリスクと機会を捉える」ということは、未来のためが優先で、いまここにいる自分のことを、大事に考えるということは身勝手なことになるのでしょうか。(いろいろなことをあきらめて我慢しないとダメってことですか?)

いまここにいる自分のことを大事に考えるためにも、環境に配慮し、社会の関係性を大切にしてほしい。すべてつながっているので。今と未来もつながっているからこそ、限られた地球の限界を意識しながら、想像力を働かせ、皆さんが大切にしている生き方をしていってほしい。

(聞手)なるほど、SDGsが大切にしていることは、いまをいきているわたしたちが、日々の生活の中で大切にしているヒト・コト・モノをとのかかわりを、少し広げてみる、少し深めてみる、当たり前だと思ってきたことを少し違う視点で考えなおしてみる、少しちがうかかわり方をしてみる、そして、少し行動を変えてみる等々・・・。そういう日常の中で「すこし変える」ということを積み重ねていくことから始まるということなんですね。

2.3●まとめ(Summary Section)

※出来具合を確かめ忘れないようにする

【6】SDGsの本質とは?

[Video] movie_sdgs031-06_sato.mp4
https://drive.google.com/file/d/1G-NhDKy4zTJihiTLe86MWlMZyuALMswr/view?usp=sharing

10枚目 SDGsの本質:変容
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

SDGsが発表された国連文書のタイトルは、Transforming our world です。SDGsの本質は変容です。私は変容には2つあると思っています。変えるのは社会、変わるのは我々です。この変える、変わるの連動性を強めていく必要があります。

(聞手)なるほど。SDGsの一番大切なところ、本質は「変容」にあるということがよくわかりました。

(Q16)では佐藤先生、最後なので、このセッションをみてくださっている「学び手」のみなさんに、SDGsに関してこれだけは伝えておきたいことなど、何かございますでしょうか?

11枚目 SDGsのイメージの転換へ
[File] mat_sdgs031-01_sato.pdf
https://drive.google.com/file/d/1LYOCw5LsmbpAcSql3uPKt17-SPvy67SE/view?usp=sharing

本セッションでは、SDGsを、なじみのある四角いロゴではなく、持続可能な社会に向けて、各目標のつながりと行動の重要性を表現したスパイラルとして捉えていただきたいです。国連は、SDGsの17目標はすべてつながっていると言っています。SDGSを、①個別の問題解決としての四角いロゴのイメージから、②問題がつながっている円環のSDGsとして、③さらには、持続可能な社会の構築に向けて、動的に包括的に課題解決に向かうスパイラルへとイメージを転換していただきたいと思います。

(聞手)佐藤先生、本日は、少し失礼かなと思うような「素朴な疑問」にもかかわらず、丁寧にお答えくださり、ありがとうございました。

以上

3■備考部(Remark Divison)

※「備考部」は「注記」と「参考文献」節からなる。

3.1●注記(Note Section)

3.2●参考文献(Reference Section)

佐藤真久・広石拓司(2020)
『SDGs人材からソーシャル・プロジェクトの担い手へ:持続可能な世界に向けて好循環を生み出す人のあり方・学び方・働き方』, みくに出版, 2020年12月.
湯本浩之(2021)
「SDGs教材映像リスト」(video_list_SDGs_yumoto_20210712.pdf)
https://drive.google.com/file/d/1WP7Szx5Dl8YSn3aPR6g49TM3IR1ikbEG/view?usp=sharing

3.3●配布条件(Distribution Condition Section)

選択肢 中項目 備考
Public Domain 改変・再配布自由
Creative Commons 対応 改変許諾(Permission for Change) ※「改変許諾」か「改変禁止」のどちらかを指定する。
改変禁止(Without Modification)
継承(Share Alike) ※「継承」「商用許諾」「非営利」のいずれかを指定する。
商用許諾(Commercial) ※授業目的以外のオープンキャンパス等で利用するには商用許諾が必要。
非営利(Noncommercial)

[CC BY] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求する。
[CC BY-NC] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、非営利目的での利用に限定する。
[CC BY-ND] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、いかなる改変も禁止する。
[CC BY-NC-ND] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、非営利目的での利用に限定し、いかなる改変も禁止する。
[CC BY-SA] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、作品を改変・変形・加工してできた作品についても、元になった作品と同じライセンスを継承させた上で頒布を認める。
[CC BY-NC-SA] 作品を複製、頒布、展示、実演を行うにあたり、著作権者の表示を要求し、非営利目的での利用に限定し、作品を改変・変形・加工してできた作品についても、元になった作品と同じライセンスを継承させた上で頒布を認める。
(注)クリエイティブ・コモンズ(クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(2021))を参照。

4■環境部(Environment Division)

4.1●ハードウエア(Hardware Section)

4.1.1★教室種別(Classroom Type)

講義室 演習室 実験室
体育館 運動場 PC教室
CALL教室 Online

4.1.2★プレゼンテーション設備(Presentation Facility)

ホワイトボード(黒板)(White(black)board) 教材提示装置(Presentation Camera)
ビデオテープ(Videotape) CD, DVD or BluRayDisc
液晶プロジェクタ(Liquid-Crystal Projector) ウェブカメラ(Web Camera)
教卓PC(Teacher PC)

4.2●ソフトウエア(Software Section)

アンケート等は学習管理システムを利用する。

学習管理システム(Learning Management System) ウェブ会議サービス(Web Meeting Service)

5■戦略部(Strategy Division)

※「戦略部」は「学習戦略」「成績評価」「働き掛け」からなる。

5.1●学習戦略(Learning Strategy Section)

※「学習戦略」節は「授業形態と組合せタイプ」「授業方針」「学習目的と形成的評価」からなる。

5.1.1★授業形態と組合せタイプ(Style of Class & Class Combination)

授業時間:1単元あたり90分。

選択肢1 選択肢2 備考
[F2F]対面授業(Face-to-Face Class)
オンライン授業(Online Education) [DOC]資料配信型(Material Distribution) ※授業形態の選択:オンライン授業の場合,授業形態を[DOC][REC][LIVE]から選択する。
PDFファイル等による資料配信
[REC]オンデマンド型(On-Demand) 非同時動画配信
[LIVE]ライブ型(Real-Time) 同時動画配信
[B]ブレンド型(Blended) ※組合せタイプの選択:オンライン授業の場合,組合せタイプを[B][D][H]から選択する。
P授業の回によって、対面[F2F]とオンライン[LIVE][REC][DOC]を切り替えることで組み合わせる(ローテーション型授業や反転授業など)。受講する授業形態を決めるのは教員である。
[D]分散型(Distributed) クラスをグループに分けて、一方を対面授業[F2F]とするときには他方をオンライン授業[LIVE][REC][DOC]とし、授業の回によって入れ替える。対面授業の三密対策に有効である。対面授業の受講する授業形態を決めるのは教員である。
[H]ハイフレックス型(HyFlex) 対面授業[F2F]を実施する際、同時動画配信[LIVE]しつつ、その授業動画を収録して非同時動画配信[REC]することによってオンデマンド授業としても参加可能とする。受講する授業形態[F2F][LIVE][REC]を決めるのは学生である。HyFlexはHybrid-Flexibleの略。
【参考文献・URL】「ハイフレックス型授業実践ガイド(PDF版)」, 『ハイフレックス型授業実践ガイド』, 全学教育推進機構教育学習支援部サイバーメディアセンター, p. 2, 大阪大学.
https://www.tlsc.osaka-u.ac.jp/project/onlinelecture/hyflex.html(2021年1月25日アクセス)

5.1.2★授業方針(Class Policy)

講義中心(Lecture) 演習中心(Practice) ワークショップ中心(Workshop)
体験型学習(Experimence-Based) 問題解決型学習(Problem-Based) プロジェクト型学習(Project-Based)

5.1.3★学習目的と形成的評価(Learning Objective & Formative Assessment)

選択肢 備考
知識獲得型(Knowledge) 知識の獲得を主たる目的とする。
[形成的評価の例]獲得を目指す「知識」は何か?
個別的知識を小テスト、統合的知識をレポートで評価。
技能習得型(Skill) 技能(スキル)の習得を主たる目的とする。
[形成的評価の例]習得を目指す「技能(スキル)」は何か?
実践結果とその振返りで、自己評価・同僚評価(注3)。
認知変容型(Cognition) 認知・態度の変容を主たる目的とする。
[形成的評価の例]変容を期待する「認知・態度」は何か?
想定される認知バイアスや態度を事前アンケートで評価、学習後の変容を事後アンケートで評価。事前・事後の比較で「認知・態度」の変容を評価。

5.2●成績評価(Grading System Section)

選択肢 備考
[形成=成績] 形成的評価による教育指導を全面的に成績評価する方法
(例)形成的評価の内容を点数化して取り入れる
[形成→成績] 形成的評価による教育指導の一部だけで成績評価する方法
(例)形成的評価の提出状況だけを点数化して反映させる
[形成≠成績] 形成的評価による教育指導を成績評価に取り入れない方法
(例)形成的評価は用いず、レポート・アンケート等で成績評価する

5.3●働き掛け(Encouragement Section)

選択肢 個数(半角数字) 備考
授業素材の「核」の個数(Number of Leaning Nucleus) 12 原理的に1以上で、一般的に複数個:学習の素材となる核の個数。一般には、教授内容(what)のための核と動機づけ(why)や振り返り(reflection)の学習素材からなる。
ガニェ指標の個数(Number of Gagne Index) 4 変域[0, 9]:教授法的側面からの学習の容易性の指標で、ガニェの9教授事象(Gagné's Nine Events of Instruction)にどの程度のっとっているかの度合い。9教授事象(注意喚起、目標提示、前提条件、新事項提示、指針提示、練習機会、振返機会、成果評価、保持移転)のうちのいくつが該当するかで算出。
場設モードの個数(Number of safety-mode) 10 指示(-1)⇔開放(+1):「主体的に学ぶ」態度を心理的安全性の観点から促すために、学習者の情意的側面への働きかけによって場を設える教員の言動。「指示」:学生の学習行動を促す教員の明確な指示、「開放」:安心な学習態度に導く教員の言動。
対話モードの個数(Number of Dialogue-mode) 15 自己(-1)⇔同僚(+1):「対話的に学ぶ」態度を促すために、学習者の認知的側面への働きかけによって場をゆさぶる教員の言動。「自己」:自己内の対話、「同僚」:同僚との対話を促す教員の言動。
視界モードの個数(Number of Birdeye-mode) 31 虫目(-1)⇔鳥目(+1):「深く学ぶ」態度を促すために、学習者の認知的側面への働きかけによって場をゆさぶる教員の言動。「虫目」:虫の目(具体化)の視点、「鳥目」:鳥の目(抽象化)の視点に導く教員の言動(具体化は形式論理の「演繹推論」、抽象化は「帰納推論」に発展的に対応)。
事由モードの個数(Number of Warrant-mode) 42 事実(-1)⇔理由(+1):「深く学ぶ」態度を促すために、学習者の認知的側面への働きかけによって場をゆさぶる教員の言動。「事実」:事実や事実の記述、根拠、「理由」:理由を与える意味や価値、論拠に焦点を当てる教員の言動(事実は非形式論理の「根拠」、理由は「論拠」に対応)。

本文

【分析担当】阪井和男(明治大学)
分析表:[File] slu80_sdgs031_sato_TBL.pdf
https://drive.google.com/file/d/1hB7XOa73aDJwV4eYJBcoccWoKadUykHT/view?usp=sharing
分析図:[File] slu80_sdgs031_sato_FIG.pdf
https://drive.google.com/file/d/1ER8yW-gHyFuUT4AxCr7z8wCf33my2JpX/view?usp=sharing